TOP > Activities & Reports > 教育プログラム開発 > 雪の結晶をつくろう!

雪には天の気持ちがこめられています。雪の結晶をみれば、上空の温度、湿度などの状態がわかるからでです。このことを雪の研究者である中谷宇吉郎は「雪は天から送られた手紙である」と表現しました。雪の結晶をつくることを通して、仮説をたて、実験するという科学のプロセスを体験しましょう。
中谷宇吉郎は世界ではじめて雪の結晶を体系的に研究しました。北海道において、自然の状態での雪を写真にとり、その形態を分類した。その興味は実験室の中で人工的に雪をつくるところまでになりました。そして湿度や温度等の実験条件をコントロールした中で、雪の結晶の生成に成功しました。
右の図が、Nakaya Diagramで知られる温度と湿度による雪の結晶の形態の分類図です。雪の結晶という複雑な自然現象から体系的な研究をつくった功績は大きい。
ペットボトルを使って、雪の結晶とつくる実験装置をつくります。ポイントはつり糸を使っていることで、つり糸を核にして雪の結晶が成長します。ドライアイスはマイナス50ぐらいになるので、容器の中の水蒸気を急激に冷やすことができます。
容器にドライアイスを入れてから、まずペットボトルの容器が曇り始めます。それからつり糸にうっすら霜がつき始め、急に樹状の結晶が成長し始めます。雪の結晶ができてきたのは、ドライアイスの入っている器のところで、ー5度ぐらいでした。温度が急激に下がっているところで、雪の結晶が成長していました。他の素材として動物の毛を密封容器の中に入れた実験では、霜がつきまっしろにはなりましたが、樹状の結晶の成長は見られませんでした。
氷が溶け始める温度は0度ですが、雪の結晶ができ始める温度はー5度でした。0度以下になると水は氷になる方が安定なのですが、氷から水になる際にはエネルギーのバリアがあって、それを越えるには0度よりさらに冷やすことと、氷になる”きっかけ”が必要になります。この実験の場合、核となるものはつり糸になります。
動物の毛を使った実験では、樹状の結晶成長は見られませんでした、ものの表面に存在する傷が核となって、氷の結晶が成長する思われます。一度、成長し始めた結晶はより大きく成長するというプロセスで樹状の結晶が育ちます。
今回使用した動物の毛は、傷が多かったと思われ、右の図のような間隔で結晶成長が始まれば、樹状の結晶はできないであろうと考えられます。核生成の場の間隔が、できる結晶の形を決めていることが、今回の実験から考察さます。結論としては、できるだけ表面の傷が少ない釣り糸の使用が、樹状の結晶成長に適していると考えられます。
ペットボトルの中で雪の結晶をつくりましたが、これは大気における水の循環のモデルでもあります。ドライアイスが上空に、スポンジ部分が地表に対応します。大気と地表の間を水蒸気が循環し、温度差があることによって、上空で雪の結晶ができます。大気の場合、雪の結晶の核となっているのは空気中の塵などです。小さなペットボトルの世界で大きな地球の循環がおこりました。
2011.12.17|
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