TOP > Activities & Reports > 科学教育プログラム Event-driven science > 環境を測るエコツアー > いきものがつくる大気

教育プログラム開発

環境を測るエコツアー
いきものがつくる大気


はじめに

2008年春の自然の教室では、いきものの活動が大気という環境をつくっていることを知る実験をおこないました。いきものには植物と動物の2種類があり、この生き物たちの活動によって大気がつくられています。公園という身近な自然において大気中の成分の測定を行い、地球環境について考えました。

本教育プログラムは、環境問題への対策のため、環境計測器のシステムづくりを提案している 株式会社仙台測器社 様にご協力いただきました。

地球の大気は、動物と植物のはたらきと大地の活動でつくられています。

2008年春の自然の教室では、いきものの活動が大気という環境をつくっていることを知る実験をおこないました。いきものには植物と動物の2種類があり、この生き物たちの活動によって大気がつくられています。公園という身近な自然において大気中の成分の測定を行い、地球環境について考えました。

Principal 原理

植物は
根から水を、
気孔から二酸化炭素を、
吸収します。

太陽の光のエネルギーを利用することで、
でんぷんをつくり、栄養分として利用します。


副産物として、酸素をだします。

動物は糖分と酸素から、
エネルギーを取り出し、
体を動かします。

「もやす」ので二酸化炭素がでます。

動物は、植物が太陽の光でつくったエネルギーを使っています。


Local 人間活動の測定

化石燃料の燃焼、人間の呼吸、それぞれの実験条件のもと、人間活動がどのように環境中の二酸化炭素の濃度を変えるのか、測定しましょう。大気中の気体の濃度はppmという単位ではかります。

※注) ppm 100万分のいくらであるかという割合を示す単位。主に濃度を表すために用いられる。
   例:1ppm =

実験器具の説明

身近な環境の測定を始めるにあたって、まずガス検知管の原理の説明と使い方を説明しました。ガス検知管はガラス製のガス検知管内に空気を注入し、内側にある成分の色素変化によりそのガス濃度を検知するものです。今回の実験では二酸化炭素の濃度を測定しました。検知管の中の紫色の色素が、空気中の二酸化炭素とふれあうことで、黄色にかわります。細長いガス検知管の中で、どの部分まで黄色に変色したかで、空気中の二酸化炭素の濃度を測定します。

空気中の二酸化炭素の濃度のリファレンスをつくる

人間活動による二酸化炭素の排出量を測定する前に、測定値の基準となる空気中の二酸化炭素の濃度を調べます。今回は森林公園の池の縁でリファレンスの測定を行いました。380ppmという結果がえられ、今後の測定において、この値の何倍の二酸化炭素の濃度が測定されるかで、測定結果の考察をおこないます。


Local 環境測定

実験① 呼吸

みんなで、ガス検知管に息をはきかけて、二酸化炭素の濃度をはかりました。3000ppmという結果がえられ、周りの空気中の濃度の約8倍もの濃度の二酸化酸素が測定されました。

化石燃料である天然ガスを使う燃焼させると、どれほどの二酸化炭素がでるのか、実験しました。1000ppmという結果が得られ、リファレンスの約2.6倍もの濃度の二酸化炭素が測定されました。
家庭で使うガスと同じぐらいの熱量を発生させるので、身近に使う燃料がどれぐらい二酸化炭素を発生させるのかわかります。


Local フィールドワーク

街の中での緑のはたらきをフィールドワークで調べます。

実験手順

1.公園と周辺の街のフィールドマップをつくる
2.各地点において、温度、湿度、風向き、二酸化炭素の濃度を測定する
3.フィールドマップに各測定データを書き込む

森の中での二酸化炭素の測定です。ヒトの息によって濃度が上昇することがわかっているので、みんなからはなれて、ひとりで測定します。自分のはく息の影響もないように、体からはなして測定します。


考察

人間活動による環境の二酸化炭素の測定においては、人間の吐く息で、周りの環境の10倍近い濃度まで二酸化炭素の濃度が上昇した。このように人間の呼吸という身近な現象においても、周りの環境をかえるという結果が得られた。
またフィールドワークにおいては、街の中での二酸化炭素の濃度が高かったこれは、排気ガスなどの人間活動によって二酸化炭素の排出によるものを思われる。森の中における二酸化炭素の濃度は低かったが、植物が光合成により二酸化炭素を吸収したのか、それとも単に人間活動が森の中ではないという理由で、濃度が低いのかの区別はつけられない。光合成は光が多いほうが活発に行われ、二酸化炭素がより多く吸収されることが知られている。今回の測定時における天気はくもりだったので、日光の照射量がすくなく、光合成は不活発であったと考えられる。しかし、植物をはじめ生物は、日周リズムによって活動しているので、時間による二酸化炭素の濃度の変化を測定しければならない。
今後の予定として、観測地点を増やし、街の中での緑のはたらきを二酸化炭素、温度や湿度などの環境パラメータを測定することで明らかにする。さらに定点観測、つまりある場所での測定を時間経過にしたがって行い、「日光がより多く照射す昼間に二酸化炭素の濃度が下がっているのか」を測定し、公園の規模の植物量でどの程度の二酸化炭素の吸収力があるのかを考察する予定である。


Global 地球環境 〜地球温暖化ってなんだろう?〜


※「次のページ」をクリックしてください。



関連

「環境エコツアーの概要」はこちらをご覧ください。