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大地と空がであう場所での水の姿(第10回「雪の教室」)

文責:林 叔克 (2008年2月24日) カテゴリ:体験型自然科学の教室(10)

今回の科学者の挑戦状では、霜柱の生成について報告します。他の実験は天候がきびしい中、実験そのものがむずかしくなりました。今後はより自然の中の自然の条件をいかした実験を考えていきます。

挑戦の目的

科学者は自然に「そもそも、なんでだろう?」という問いかけを発し、切り口を見つける。そして自然と共同で、自然の原理を明らかにしていく。今回の「かがくしゃの挑戦状」では、自然の中で、自然よりもはやく自然現象をつくることが目的である。自然の中で感じたことを「自明なこと」と「非自明なこと」に分けて、挑戦する。
どこに自明なラインをひくか? 今回は気体の水、液体の水を冷やせばこおるのは当たり前だとしよう。しかし大地、空の間で、水がつくる規則的な構造はどうしてできるのだろうか? 土と気象の条件は様々であるのに、水がつくる姿にはなにかしらの規則性がある。自然がつくるよりもはやく、自然の現象をつくることができれば、自然現象の本質的な要素を切り出せたことの証明になる。

自然にあるよりも急激な実験条件で、自然よりもはやく、自然現象をつくりたい。人間が人工的に持ち込んだ、180度の温度差がある空間のなかで、雪の結晶、霜柱、氷柱をつくることに挑戦する。

ふだんは実験室で、いかに実験条件を整えるかと考えている。しかし今回、自然の中で実験することで、自分がいままで気づかなかった自然の条件を感じたい。


霜柱の実験装置

霜柱は地表面で水が凍ってできると考えられる。つまり水が下から供給されることがひとつの生成要因である。霜柱の生成に関して、水の供給と温度差というふたつの視点に着目し、実験装置を製作した。ペットボトルとステンレスのボール、ガスコンロを用いて実験装置を製作した。

水の供給:霜柱に水を十分に供給することを考え、まずペットボトルの下に水を満たした。土は下層の水を吸い上げるはずである。

温度の勾配:自然に存在するよりも急激な温度差をつくるために、土の下層では水を沸騰させ100度にした。さらに土の上層にドライアイスを置くことで、ー80度の寒気をつくった。


実験結果

およそ1時間後に土が盛り上がり、土が固まりとなっている様子を観察した。天然の霜柱をみると、まず土を必ず、かぶっていることにきづく。さらに土の表面に均一に生えているのではなく、土がまばらに盛り上がっている姿が観察される。今回の実験で土が固まる様子が観察されたことから、霜柱生成の初期段階では、まず土が丸く固まるのではないか思われる。

団粒となった土を指で解きほぐすと、小さな氷の粒が見られた。これを霜柱の核となる氷と呼べるのか、それとも単なる氷の粒なのかの結論は出せなかった。なぜなら、この後、土そのものが凍り始め、霜柱の成長が見られなかったからである。


考察

霜柱の生成の最初の段階と思われる土の様子が観察されたことから、霜柱の生成を土の給水機能と温度差という視点から見たことは、正しい方向性だといえる。霜柱という自然現象の本質的な切り口がみつけられたのではないか。実験系も基本的には立ち上がった。

次に問題となるのは、土の給水の速さと、温度差で水が凍ることの速さとの関係である。今回、自然よりも急激な水の供給、温度差の維持をしたが、霜柱の生成にはいたらなかった。自然現象への挑戦はこれからである。今後、給水と温度差のバランスを調節し、さらに実験をすすめる。


さらなる不思議

土の固まりができてくるのは、どうしてだろうか?給水して、冷やされ、小さな水の粒が、土の粒子と粒子の間で、氷に固まることによって、できると考えられる。

霜柱はいつも土をかぶっているが、この土のかたまりからどのように氷だけが分離されてでてくるのか。

さらにどのように氷の柱が、重力に逆らって垂直に立ち上がるのかは、さらなる謎である。



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