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第1回研究報告 視覚追従実験における人の認識 [2008.09.12]

文責:佐瀬 一弥 (2008年9月12日) カテゴリ:

研究背景


人の認識メカニズム

人は空間中の運動する物体を、認識し、行動にうつす。しかし、認識できる能力は制限がある。 視野は限られているし、神経伝達速度も有限なのだ。 それを補うために、何らかの工夫が必要だ。すなわち、各々の制限を克服するために、人間特有の認識メ カニズムがあるはずである。 そこで、どのようにして、運動する物体を認識するかを解明するために、人類に普遍的な認識メカニ ズムを、感覚情報とそれに対する身体の応答を手掛かりに調査す る。

視覚追従実験

コンピュータをつかって、デスクトップ上に規則的に運動する点を描写する。 この点をターゲットと呼ぶ。被験者は、ターゲットにできるだけ正確に合わせるようにマウスを動かす。 ターゲットとマウスの位置を記録する。

単振動の視覚追従実験

先行研究として、ターゲットを単振動させた実験がある。 振動の周波数を変化させていくと、マウスはターゲットよりも進んだ位置にあることが多くなる。 このターゲットに対して進んでいる性質を先行性と呼び、位相差で評価する。 ターゲットの周波数が低いときは、ターゲットとマウスの距離を縮めるように、マウスを動かせばよいが、ターゲットの周波数が高くなると、ターゲットの動きを予測して、マウスを動かす必要がでてくる。
この先行性は、ターゲットの動きを予測し、速度変化に対応できるようにするためと考えられている。

等速円運動の視覚追従実験

ターゲットを等速円運動させた実験が進行中である。 ターゲットが一定の速さで2次元的に運動する。 ターゲットとマウスの位置をとる。 やはり、周波数が高くなると、多くの被験者で先行性が見られる。 また、マウスの速度を計算してみると、時間に対して周期性が認められる。 ターゲットは等速運動をするが、マウスは周期的に速度を変えている。 フーリエ変換して各周波数成分の強度を見てみると、ターゲットの周波数がfのときに、マウスの速度はfと2fにピークが立っていることが分かる。 つまり、円を1周するときに速い遅いの周期と速い遅い速い遅いの周期がある。 単振動の実験ではターゲットの速さが周期をもっていたが、今回はターゲットの速さは等速である。 人間が生み出した周期性をもった速度変化は、いずれの被験者にも見られ、ターゲットを追う上で必要なものと考えられる。 この速さの周期性をリズムと呼び、fと2fのピークの高さでリズムの大きさを評価する。 ターゲットにはリズムがないから、人間が能動的にリズムを生み出していることになる。

リズムの必要性

結果として、等速円運動でリズムの生成が得られたが、リズムの生成はターゲットを追うことができるための必要条件とは言い切れない。 ターゲットの速さには周期性がないが、ターゲットを水平方向に射影すれば単振動とみなせる。 ターゲットの軌道自体に周期性がない場合は、人間が能動的にターゲットの動きからリズムを生みだろうか。 そこで、ターゲットが等速直線運動をする場合の視覚追従実験を行うことにした。




研究目的

人間の物体を追うときの認識メカニズムに、リズムの生成が必要かどうかを明らかにする。 ターゲットが等速直線運動する場合の視覚追従実験から、ターゲットの速さにも軌道にも周期性がない場合のリズム生成の有無を調べ、リズム生成の必要性を調べる。

実験系をつくる

画面上を左から右に、ターゲットを等速直線運動させ、被験者はマウスでできるだけ正確に合わせるようにする。 ターゲットとマウスの位置から、ターゲットとマウスの距離とマウスの速さを調べる。

実験画面で、赤がターゲット、青がマウスの位置を表す。 各時刻のターゲットとマウスの位置から、ターゲットとマウスの距離と、マウスの速さをとる予定。




今後の方針

実験系のプログラムの作成し、実験上の詳細条件を決めて実験データを集めていく。



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