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研究テーマ

少数の働きアリによる行動解析とモデル化
東北大学千葉研究室での発表の反省

文責:結城 麻衣 (2009年9月18日) カテゴリ:少数の働きアリによる行動解析とモデル化

8月14日に東北大学の千葉研究室で発表をしてきたので、その反省。

  • 自分が本当に面白いと思っているところが出ていなかった。
  • パワーポイントも、1枚1枚にどのような情報があるのか、自分が面白いと思う部分が言えてなかったと思う。
  • 質問の内容もちゃんと答えてなかった。
改めて、自分が面白いと思うところ、知りたいと思うところを箇条書きで書き出したい思う。
  • アリが、あんなに小さいのに、何千、何万という個体で一緒に生活できていることが不思議。
  • 人間は、言葉を使うことで色々な情報を当たり前のように伝えるが、アリは化学物質や接触で情報を伝えている。
  • 言葉以外の情報伝達手段が成立していることが面白い。
  • そもそもコミュニケーションを取る時、1対1が基本になる(もちろん1対多数もあるが)。
  • なら、アリも1対1から見ていくと何か見えてくるのでは?
  • 少数の行動での総和が、社会性に何かしら関係があるんじゃないか?

パワーポイントの見直し

1.背景

私たち生物は環境の中に生息している。その環境は、天気によって晴れたり雨が降ったり、または、餌(食べ物)があったりと、常に変化しているものである。 それに対し、生物は生きていくために、餌を食べたり、住む場所を作ったりと、環境に対して適応してきた。 刻一刻と変化する環境に対し、生物は単体で生活するより、もちろん複数で生活したほうが、餌の獲得や身を守る時など有利である。 この複数個体が集まり、生活する状況を社会を形成しているといえる。 そして、昆虫の中で、ハチやアリなど複数個体集まり生活している虫たちがいる。これを社会性昆虫と呼ぶ。 この社会性昆虫の特徴にコロニーを形成することがあげられる。このコロニーとは、複数個体が集まり、生活する場で、また環境要因(餌や温度)を満たす場でもある。 コロニーを維持するに当たり、役割分担が必要になる。例えば、餌の獲得、外敵からの防衛などがある場合、どちらか一方に偏ってしまっては、うまくいかない。また、それぞれの役割があるが、各役割が独立していては、維持が非常に難しくなる。 このことから、役割間での情報交換が不可欠になってくる。 (飛躍しすぎているのでつけ足し) 社会性昆虫のアリの場合、情報交換の方法として、フェロモンや触角での体表接触があげられる。 フェロモンの場合、1対多数に情報が伝わるが、接触の場合、主に1対1での情報交換となる。 では、1対1の局所的な情報交換から、どのように社会の秩序が形成されていくのだろうか?

2.目的

少数働きアリの行動を観察し、その振舞からアリ同士のやり取りの意味を探っていく。

3.実験手法

先ほど述べたとおり、アリはフェロモンや接触することで何らかの情報を交換している。生物学的に、フェロモンなどの化学物質の解明が主流となっているが、移動速度や接触などの行動からでも、何らかの情報が得られると思う。 よって、本研究では、主に行動に着目する。 (手法省略)

4.実験結果・考察

まずは、速度に関する結果について。まずはアリ1匹で実験した際の、移動速度になる。 横が時間、縦が速度になる。細かく速度が変化しているのがわかる。 そもそも働きアリは、働きとつくぐらいだから常に動いているイメージがあるが、ある一定時間を過ぎると、動く―休むを繰り返し行うようになる。 2匹の場合も同様で、速度が細かく変化している。また、2匹で実験を行っても100分以降をそれぞれ見てみると、2匹とも動く―休むを交互に繰り返していた。 また、2匹の速度を重ねて見てみたところ、100分以降AとB交互に動く―休むをを交互に繰り返している。これは他の個体で実験した際にも見られた。 速度を見ると0pixel/secの場合休んでいるといえるが、よく見ると0pixel/secではないが微妙に動いている部分がある。この速度グラフを活動度の点に着目する。閾値を設け、それ以上ならActive、それ以下ならInactiveとし、2値化を行った。 2値化したグラフを見てみると、やはりAとB交互に活発になっている箇所が見られる。 このことから、2値化したデータに活発―不活発がどれくらいの周期で行われているのかを見るため、フーリエ変換を行った。アリ1匹のグーリエ変換の結果を見てみると、約28分にピークがたった。 2匹で実験した際の結果も見てみたところ、2匹とも15分のところにピークが立った。 他の2匹での実験でフーリエ変換の結果を見てみると、約30~50分あたりにピークが立つものが多いことがわかった。 これらのことから、アリは活発―不活発のリズムを持っているといえる。 ここで活発―不活発のリズムと考えた時、2匹でやる事によって、そのリズムの位相はどうなるのだろうか?同位相になるのか。逆位相になるのか。または、まったく関係なく動くのか。 位相を調べる際、δ=A-B+2ABという式を用いる。この式を用いることで、動いている時を1とすると、Aだけが動いている場合δ=1。Bだけが動いている場合δ=-1。2匹だけが動いている時は、δ=2となる。先ほど速度を2値化したものを、δA-B+2ABを用いて、位相の関係を調べる。 ます、サンプルAの結果を見てみると、開始直後は2匹とも動いている時間が多いが、120分以降赤のラインで引いたように、AとBが交互に動いていることがわかる。 サンプルBの結果を見てみると、サンプルAほど明確に出ていないものの、大きな周期でいることがわかる。 以上のことから考えられることは、アリはそれぞれ固有の活発-不活発のリズムを持っており、約30~50分周期で行われている。 また、開始直後は実験空間内はアリにとって未知の空間なので、アリが活発に歩き回っている時を探索しているとする。 空間内を大方探索が終わった頃を境に、活発不活発のリズムが起きているのではないかと考えられる。 この活発―不活発のリズムについて、実際自然界で生きていく上でどのようなことに使われるのだろうか。実際働きアリは餌の調達や敵から巣を守るなどの仕事がある。つまり、外に出ての活動が多いことから、自然界中で活発-不活発で動いていたら、不活発の間は非常に危険な状態になる。 この場合、不活発の場合は巣で休んでいると考えると、活発時には外に出ていき、餌や敵などのパトロールを行っているのではないかと考えられる。 そうすることで、不規則に出現する餌や敵に対し、常に対処できる状態を作ることができる。 ここからは、軌跡に関する結果、考察になる。 これは、2匹で実験を行った際の結果で、左が実際の実験映像、右がそれから抽出した軌跡になる。軌跡を見ると、半球全体を軌跡が覆っているのがわかる。 この軌跡の結果に対し、アリ1個体のメッシュに区切り、メッシュの中に1つでも軌跡があれば、そのメッシュは探索が完了しているとし、探索度について調べた。開始から終了までを見るが、主に活発―不活発のリズムが発生する前に注目する。 左から、1匹での実験、2匹での実験のAとBの空間探索度の結果になる。アリ1匹の場合、部分的に探索が完了していないが、2匹を見ると、1匹よりも探索が広く完了していることがわかる。 次に、2匹で実験した際の、探索度の時系列変化をグラフにした。このグラフから、数値が1000でほぼ空間の探索が完了しているといえるが、約100分あたりで、ほぼ探索が完了しているといえる。 次に、2匹で実験した際の、探索度の時系列変化をグラフにした。このグラフから、数値が1000でほぼ空間の探索が完了しているといえるが、約100分あたりで、ほぼ探索が完了しているといえる。 しかし、部分的に探索が完了していなくても、リズムが発生している結果もいくつか出ている。 このことから、アリ自体が、空間を探索し終えたと思った時点からリズムが発生していると考えられる。 以上のことから、軌跡に関する結果から、時系列経過を活動度という点で見た時、開始直後は未知の空間の探索で活発に動き回る。そして、アリ自身が探索が完了したと思ったら、活発―不活発のリズムが発生すと考えられる。 今後の予定は、個体数を増やし、相互作用を検証。また、軌跡と接触等の行動の関連も随時検証していきたい。それ以外にも、仮想的な巣と外界を現した実験空間を作り、実際不活発がどこで行われるかを観察したい。


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