第１回 natural science シンポジウム（2008.07.13）
宮城の米粉をつかったおかしをつくろう！（宮城県産業技術総合センター）

　日本有数の米どころとして知られる宮城。ササニシキやひとめぼれ誕生の地でもある宮城では、広大な仙台平野を中心に、米づくりが盛んに行われている。水田面積は、県全体の１６％を占める１１４８平方ｋｍ（環境省自然保護局東北地区自然保護事務所、2003）。しかしながら現在は生産調整により、７８０平方ｋｍの水田で米が生産されている。

　一方、日本の食糧自給率は２００６年現在、カロリーベースでわずか３９％。その原因は、需要や用途の変化に国内生産対応できなくなっていることと、日本人の食生活が変化したことにある。１人１年当たりの供給純食料で見ると、約４０年の間に、米の消費量がほぼ半分になったのに対し、肉類は５倍、油脂類は３倍と大幅に増加。自給可能な米の消費量が減少する一方、大部分を輸入に頼る飼料を必要とする畜産物や油脂類の消費が増大し、これが自給率を押し下げる。

　そんな中、宮城県産業技術総合センターでは、宮城の産業としての米づくりを支援しようと、米の利用拡大を目的とした米粉の研究など、宮城の米に関する様々な研究を展開している。

　米粉と言えば、最近は世界的な小麦相場の高騰の影響もあり、米粉パンや米粉ケーキなど米粉を用いたメニューを巷でよく見かけるようになった。だが米粉そのものは、古くからだんごや大福といった和菓子の原料として使われてきたもの。一方、最近注目されているのは、パンやめんなど小麦粉の代替品用としての米粉だ。このような応用は、米粉をより細かく粉砕する技術や設備の革新が可能にしたものである。

　そんな米粉の手軽な利用方法を知ってもらおうと、「Cafe natural science」では宮城の米粉を利用したお菓子作りを体験できるブースが登場。「オーブンも不要。ただ混ぜるだけでつくれる」という、らくがんづくりに老若男女が挑戦した。材料は、マシュマロ風米粉、砂糖、塩ひとつまみと水のみ。混ぜた材料を型に押しつけて固め、ポンと叩いて取り出す。「火を使わなくてもおかしが作れてびっくりした」とその手軽さに驚きながらも、参加者らは美味しそうに出来立てのらくがんを味わっていた。他にも「いろいろな米粉があることを知った」「マシュマロ風米粉を初めて食した」「宮城の特色を活かしたことを行っている」「おいしかったので粉を買いに行こうと思う」などの感想が参加者からあった。米粉の開発に携わった食品バイオ技術部の水上さんは「米も小さな頃から食べ続ければ、将来も食べ続けるはず。米にはいろいろな食べ方があることを知ってもらいたい」と話している。