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【量子力学入門】電子パルスのダイナミクスのご案内

文責:遠藤 理平 (2012年8月10日) カテゴリ:仮想物理実験室(325)

本稿は、量子力学を学習する際に序盤で登場するポテンシャル障壁に対する電子パルスの動的現象を数値シミュレーションするために必要な知識を習得することを目的とした、HTML5 を利用した量子力学初学者向けのデジタルコンテンツです。 本稿の特徴は、(1)物理系の解析的取り扱い(2)計算アルゴリズムの導出(3)C++言語によるプログラミング を統一的に取り扱うことで、量子力学の基礎から数値シミュレーションまでの道筋を修得することができる点です。 さらに、ポテンシャル障壁に対する電子波は解析的に取り扱うことが可能な系であるにもかかわらず、本稿で取り扱う電子波の重ね合わせで表現される電子パルスの動的特性は非自明な点もあるため、非常に興味深いシミュレーション結果を得ることも可能です。 また、本稿の手法は波動現象一般で成り立つため、電磁気学などにも適用することが可能です。
本稿を通じて量子力学の基礎、波動現象、並びに数値シミュレーションに対する理解が深まることに本稿が少しでもお役に立てば幸いです。

本稿について(HTML5 を利用したデジタルコンテンツ)

本稿はウェブページ記述言語 HTML の最新バージョンである HTML5 と Javascript で作成してます。 HTML5 ではウェブブラウザ上で自在に描画するための canvas 要素と呼ばれる領域が標準で用意されており、ピクセル単位の描画を Javascript で制御することができるため、例えば物理現象の時間発展を時間ステップごとに描画することができます。 これは、数値計算結果のグラフだけしか掲載することができなかった従来の紙ベースの書籍に対して、読者により直感的な理解を可能とする表現の可能性を秘めていると考えられます。

本稿は、ウェブブラウザで閲覧可能なスライド形式型の HTML5文書です。 HTML5 はWeb標準を謳っておりますが、2012年8月時点では草案段階で、ウェブブラウザでの実装はまだ不十分な状況なため、本稿が著者の意図どおり動作するブラウザは HTML5 に先駆的なGoogleChromeMozilla Firefox のみとなります。本稿は上記ブラウザの最新バージョンのみをサポート対象とします。 本稿は、次世代の技術である HTML5 を積極的に取り入れた実験的コンテンツとしての位置付けもあります。 例えばこれまではプレゼンソフトとしてウィンドウズ社製のパワーポイントがデファクトスタンダードの地位を占めていますが、HTML5 がもつ汎用性はその牙城を崩すポテンシャルを持っているように感じます。 いずれにせよ、本稿では HTML5 の機能を積極的に利用します。

本稿で利用ライブラリ

本稿では以下のJavascript ライブラリを利用させていただいております。 この場にて勝手に御礼申し上げます。


量子力学入門
電子パルスのダイナミクスの目次

本稿では、シュレディンガー方程式の平面波解を用いて、電子パルスのポテンシャル障壁における散乱現象の時間発展をシミュレーションします。 つまり、シュレディンガー方程式を時空間を差分化して計算するのではなく、各エネルギーに対する解析解となる平面波を重ね合わせることで表現される電子パルスの時間発展を計算します。 この手法の利点は、本質的に解析解の数値的描画となるため時間発展とともに誤差が蓄積することがありません。 境界条件を適切に設定することで様々な系における量子現象を適切にシミュレーションすることが可能となります。 本稿では、各種ポテンシャルに対する電子平面波の振る舞いを確認することからはじめ、最終目的としてポテンシャル障壁に対する電子パルスの時間発展のシミュレーションを行うまでの、(1)解析的取り扱い(2)計算アルゴリズムの導出(3)C++言語によるプログラミングまでを行います。 具体的には以下の6章立てにて行います。

  • ・ はじめに
  • 1.シュレディンガー方程式の平面波解
  • 2.電子平面波の反射と透過
  • 3.ポテンシャル障壁における電子平面波
  • 4.電子パルスの伝搬
  • 5.ポテンシャル障壁における電子パルス
  • 6.動的性質の計算例
  • ・ 最後に

一部、WebGL を用いて描画しています。そのため、WebGLが描画可能なブラウザ(GoogleCrome や Firefox)でご覧頂く必要があります。

付属の C++言語 プログラムソース

本稿では、C++言語で計算した数値データを HTML5 + Javascript で描画しています。 本稿で取り扱ったシミュレーションのすべてのC++言語プログラムソースが付属されています。 個人利用のための改変などはご自由に行うことができますので、様々な系にてシミュレーションを行なってみてください。 興味深いシミュレーション結果が得られた際には是非ご連絡ください。本ウェブサイト上で紹介させて頂きます。

  • ・電子平面波のシミュレーション.cpp
  • ・電子平面波のステップ関数型ポテンシャルによるシミュレーション.cpp
  • ・電子平面波のポテンシャル障壁によるシミュレーション.cpp
  • ・電子パルスのシミュレーション.cpp
  • ・電子パルスのステップ関数型ポテンシャルによるシミュレーション.cpp
  • ・電子パルスのポテンシャル障壁によるシミュレーション.cpp
  • ・ポテンシャル障壁中に残留する電子存在確率の時間依存性.cpp

本プログラムは、計算速度の向上のため OpneMP を利用して並列化計算しています。 OpenMP が利用可能な場合のみ並列化を行なうよう設計されています。 また、Windows系でもUnix系でもコンパイル・実行することができます(VisualC++, g++ で動作確認済)。

本コンテンツ販売について

販売形態ダウンロード
価格2,100円(税込)
決済方法 ■ 銀行振込
【取引銀行】七十七銀行 本店営業部
【口座番号】7732899
【口座名義】特定非営利活動法人 natural science (トクヒ ナチュラルサイエンス)
※振込手数料お客様負担となります
購入手順 info@natural-science.or.jpに購入希望の旨をお知らせください。 入金の確認後、メールにて本コンテンツの詳細をお送りいたします。

  • ・本コンテンツに対するご意見・ご質問・ご指摘がございましたら、お気軽にお問い合わせいただければと存じます。著者の答えられる範囲でお応えいたします。
  • ・問い合わせいただいた内容を踏まえて、加筆訂正は随時行います。購入者はいつでも最新バージョンのコンテンツをご覧になることができます。
  • ・本コンテンツ並びにプログラムソースの著作権は著者が保有しております。転載などの際には必ず著者の許可が必要となります。
  • ・購入後の返品は、本コンテンツの性質上受けかねますことをご了承ください。

本コンテンツのイントロダクション

本コンテンツのイントロダクション部を公開します。購入の参考にしてください。

※閲覧には HTML5 先駆的なGoogleChromeMozilla Firefox でご覧ください。

本稿で取り扱うシミュレーションの数値計算結果

1.シュレディンガー方程式の平面波解

■平面波の復習

平面波は、(1)振幅(2)波数ベクトルの向きと大きさ(3)角振動数 で特徴づけられます。本シミュレーションは、振幅を「1」で固定したまま、波数ベクトルの向きと大きさを「波長」と「入射角度」、各振動数を「周期」で表わします。 本シミュレーションは、平面波の復習としてWebGLを用いて2次元平面波のシミュレーションと、1次元電子平面波の時間発展を行います。


■1次元電子平面波のシミュレーション

電子平面波は角振動数と波数との関係を表す分散関係が存在するため、角振動数と波長は互いに独立ではありません。 また、角振動数はエネルギーによって決まるため、1次元の場合にはエネルギーを指定することで電子平面波の振幅以外の性質が決定されます(2次元以上の場合、方向の自由度は残ります)。本稿では、E=5eV, 10eV の1次元電子波のシミュレーションを行います。


2.電子平面波の反射と透過

以下のようなステップ関数型ポテンシャルに対して、領域境界における接続条件から得られる透過係数反射係数を用いて、ポテンシャルの値が平面波のエネルギーに対して下・同・上の3系に対してのシミュレーションを行います。


3.ポテンシャル障壁における電子平面波

以下のようなポテンシャル障壁に対して、各領域境界における接続条件を適切に扱うことで、ポテンシャルの値が平面波のエネルギーに対して下・同・上の3系に対してのシミュレーションを行います。 なお、数値計算には転送行列法を用いています。


4.電子パルスの伝搬

本稿では電子パルスを、平面波の波数空間分布をガウス分布とする重ね合わせで表現します。 波数空間におけるガウス分布の幅と中心によって、実空間におけるパルス分布の幅とパルス平均運動量が決まります。


5.電子パルスの反射と透過

平面波にて導出した反射係数と透過係数を利用することで、電子パルスの反射と透過も計算することができます。 電子パルスの中心エネルギー E=10eV に対して、ポテンシャルの値が下・同・上の3系に対してのシミュレーションを行います。


6.ポテンシャル障壁における電子パルス

平面波にて導出した反射係数と透過係数を利用することで、ポテンシャル障壁に対する電子パルスの時間発展も計算することができます。 電子パルスの中心エネルギー E=10eV に対して、ポテンシャルの値が負・下・同の3系に対してのシミュレーションを行います。


■電子パルスのトンネル現象シミュレーション

電子パルスの中心エネルギー E=10eV に対して、ポテンシャルエネルギーが少し大きい程度の場合、電子パルスはポテンシャル障壁を通り抜けるトンネル現象が起こります。V=12eV と 15eV の系に対するシミュレーションを行います。



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