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ものづくり講座 夏休み体験講座
「LEDでオリジナル作品を製作しよう!」 報告書

文責:八重樫 和之 (2012年8月28日) カテゴリ:体験編(180)

ものづくり講座」は、NPO法人natural scienceが開発・実施を行なっている、小中学生を対象とした科学実験工作講座です。本講座は、単に知識を暗記するのではなく、受講生が一つひとつの要素について実感を伴いながら理解し、自らの力で組み立てる過程を大切にしています。本講座は、受講生がものづくりに不可欠な知識や技能を積み上げ、段階的に高度な作品製作へ進んでいくことを意図した、全200時間の長期カリキュラムで構成されています。  natural scienceでは、「ものづくり講座」に興味をお持ちの方を対象に、「ものづくり講座」のカリキュラムの中から基礎的な題材をとりあげ、受講生が部品の役割の理解からそれを応用した作品製作までの流れを理解することを意図した、体験講座を用意しています。  例年、7、8月に小学生を対象とした夏休み体験講座を実施しており、今年度は電子回路を学ぶ上で最も基礎的な電子部品であるLEDを題材とした、夏休み体験講座「LEDでオリジナル作品を製作しよう!」を開講しました。今年度の夏休み体験講座は、7月23日~8月23日にかけて全5回(各回2時間×4日間、小学生低学年対象講座2回、小学生高学年対象講座3回)開講し、合計36名の小学生が受講しました。 

目的と目的を達成するためのステップ

 今年度の夏休み体験講座は、基礎的な電子部品を用いた作品の製作を行う過程で、失敗を恐れず「やってみよう」という能動的な姿勢である「ものづくりの第一歩」を学ぶことを目的としています。


目的達成までの4つのステップ

 今年度の夏休み体験講座は、基礎的な電子部品を用いた作品の製作を行う過程で、失敗を恐れず「やってみよう」という能動的に学ぶ姿勢である「ものづくりの第一歩」を学ぶことを目的としています。この目的を達成するための、5つのステップを下記に示します。

ステップ1:安全で効率的な作業環境を整える(1日目)

 正しい技術を身につけなれば、ものづくりはできません。ステップ1は、受講生が工具の正しい使い方を学び、怪我の原因となる危険な箇所を認識することで、安全で効率的な作品製作を行うための環境を整えることを目標とします。

ステップ2:1つ一つ試しながら電子部品の役割を理解する(2日目前半)

 作品を製作するためには、製作の中で用いる電子部品の役割を理解する必要があります。ステップ2は、受講生が単に部品の使い方を覚えるのではなく、電子回路を1つ一つ作りながら考えることで、電子部品の役割について実感の伴った知識を得ることを目標とします。

ステップ3:学んだ内容を応用して作品を製作する(2日目後半~3日目前半)

 学んだ知識をもとに作品を組み立てていきます。ステップ3は、受講生が作品を製作する中で、電子部品の役割についてあらためて振り返り、作品へ応用することで着実に知識や技術を身につけることを目標とします。

ステップ4:仕組みが単純であるLED点灯回路を題材に問題解決のプロセスを学ぶ(3日目後半~4日目前半)

 製作の過程では、想定外のできごとはつきものです。今回の作品製作では、LED(電子部品)が点灯しないという問題が頻繁に生じます。この問題について、受講生が考えられる原因を一つひとつ整理・特定し、解決することを通して、問題解決のプロセスを体験します。

ステップ5:作品に対する製作意図をまとめ、今回の製作を振り返る(4日目後半)

 最後に作品に対する製作の意図を文章にまとめ、発表を行います。ステップ5は、受講生が今回の作品製作を振り返ることで、達成できたこと、できなかったことをはっきりさせ、次回の製作に活かすことを目標とします。


講座の実施内容

 目的達成までの5つのステップに基づき、下記のように4日間の講座を実施しました。

1日目:工具の正しい使い方を学び、配線練習をしよう!(ステップ1に相当)

 1日目の授業の目標は、受講生が工具の正しい使い方を学び、安全で効率的な作業を行えるようになることです。まず、授業の前半では、安全な作業を行うため、工具の正しい使い方を学びました。本講座で使う工具は、電子部品を基板に固定するために用いる「ハンダごて」と、部品の足や導線を切るために使う「ニッパ」です。「ハンダごて」は、高温部分を触らないように注意して使用し、「ニッパ」は、刃先で手を切らないように注意して導線を切る必要があります。以上に注意しながら、工具の特徴と危険性を認識することで、安全な作業を行う環境を整えました。次に、授業の後半では、受講生が効率的よく作業を行うため、ハンダづけ技術の練習を行いました。受講生は、一定時間にどれだけハンダをつけれるかという、ハンダづけ競争に挑戦することで、速く、そして正確に部品のハンダづけができるようになりました。このように、1日目の授業は受講生がものづくりの基本動作を身につけるで、2日目以降の電子回路製作の準備が完了しました。


2日目前半:LED点灯回路を製作する過程で、LEDと抵抗器の役割を理解しよう!(ステップ2に相当)

 2日目前半の目標は、受講生が電子部品の使い方と、電子回路における役割を理解することです。これは、受講生がLED点灯回路の製作を通して、LEDと抵抗器の役割について実感を伴いながら理解することを意図しています。抵抗器をつながなくてもLEDは点灯するのか、LEDと抵抗器のつなぎ方とLED点灯の関係はどうなっているのか、抵抗器の種類を変えるとLEDの光り方も変わるのかなど、一つひとつ疑問に思ったことを試してみることで、実感を伴いながら理解するためのプロセスを学びました。


2日目後半~3日目前半:LED点灯回路を応用して作品を製作しよう!(ステップ3に相当)

 2日目後半~3日目前半の授業は、受講生が学んだ知識をもとに作品を組み立てる過程を体験するため、LED点灯回路を応用した作品製作を行いました。作品へ応用することで、受講生がLEDの極性やLEDと抵抗器のつなぎ方について、あらためて確認することを意図しています。小学生低学年の受講生はLEDを基板上に敷き詰めることで絵や文字を表現する作品の製作、小学生高学年の受講生は配線を延長することでLEDイルミネーションの作品を製作しました。


3日目後半~4日目前半:製作の中で生じる問題を解決しながら、作品を完成させよう!(ステップ4に相当)

 ものづくりに失敗はつきものです。失敗を恐れるのではなく、失敗の原因を考え、解決策を試してみましょう。3日目の後半の作品製作では、ほとんどの受講生は、LEDが点灯しないという問題に直面しました。受講生は講師の助言を聞きながら、以下のように原因を整理しながら考えました。まず、LEDや電池について、+とーという部品の極性が正しいかどうかを確認します。部品の極性に関する原因の場合、部品の向きを逆にすることで問題を解決できます。しかし、部品の役割を正しく理解して製作したとしても、LEDが焼き焦げていたり、配線が切れいるとLEDは点灯しません。これは、作品へ応用する過程で初めて理解できます。このように、受講生は作品を製作する過程で生じる問題を一つひとつ解決する過程で、問題解決のプロセスを体験しました。


4日目後半:製作を通して考えたことをまとめ、次回の製作に活かそう!(ステップ5に相当)

 4日目後半の授業は、受講生が作品の意図を文章にまとめ、作品発表会を行いました。例えば、複数のLEDを点灯させるための配線には一定以上の面積が必要であることや、配線の難易度を考慮しながらLEDを配置する必要があることなどです。4日間の製作を振り返り、うまくできた点、うまくできなかった点、もう少し工夫したかった点などを整理することで、次回の製作へ活かすことができます。
 最後に、今回の夏休み体験講座受講生のうち、3名の生徒の作品と発表内容を紹介します。


まとめと反省

 本講座は、基礎的な電子部品を用いた作品の製作を通して、受講生が失敗を恐れず「やってみよう」という能動的な姿勢である「ものづくりの第一歩」を学ぶことを目的として実施しました。講座を通して、受講生は正しい作業環境の整え方、作品に使われる部品の役割の理解、そして製作中に生じる問題解決のプロセスの体験を通して、受講生全員が作品を完成させることができました。以上の過程を通じて、受講生は本講座の目的であった「ものづくりの第一歩」を学ぶことができました。

 一方で、講座の具体的な指導内容について、下記のような反省が挙げられます。 ①今回の作品製作ではLED点灯回路に重心を置くため、電流のオン/オフを切り替える部品である、スイッチを活用した回路は、紹介する程度にとどめました。しかし、授業の中で複数のスイッチを用いた課題を受講生に出したところ、回路にアレンジの幅が広がり、講師の予想以上に作品製作の幅が広がりました。そこで、複数のスイッチを用いた回路の製作を盛り込むことで、回路図を書いて整理する必然性が生まれるため、電流に流れ道に関してより理解を深めることができると考えられます。 ②3日目のイルミネーション製作において、ビニル線の皮膜をむく練習時間を多めにとりましたが、それでも苦戦する生徒が多く見られました。作品製作時間を十分に確保するため、今後はビニル線ではなく、すずめっき線と熱収縮チューブを用いた配線にすることで、配線が取れてしまうという問題を減らすことができると考えられます。


「ものづくり講座」への発展

 今回実施した夏休み体験講座の内容は、「ものづくり講座」の入り口に過ぎません。通常講座カリキュラムを学ぶことで、今回製作したLED点灯回路の内容からどのような応用が可能になるかについて、一例を紹介します。




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