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実験結果と実験系の課題

文責:佐瀬 一弥 (2008年10月29日) カテゴリ:セミナー(8)ヒトの視覚情報処理にもとづいた運動制御(7)

10月28日セミナー発表

研究背景

人間の運動制御は機械の自動制御の主流であるフィードバック制御によってのみでは実現できない。 神経系では神経伝達速度が制約となり高速な情報処理には限界がある。 身体も関節の自由度などの物理的制限が高速で精度の高い運動制御するにも限界がある。 人間に限らず動物が生き残るためには、 外界を知覚し働きかけるプロセスになにか戦略をもっていると考えられる。 たとえば、人間でいえば予測することは戦略のひとつだといえる。 さまざまな行動パターンも、何か理にかなった戦略を前提としているはずである。
この戦略を知ることができれば、マンマシンインターフェースの進歩や より柔軟な自動制御技術の発展が期待できる。
本研究では、運動する物体の視覚情報をあたえたときの、人間の運動制御メカニズムを 数式モデルにすることで人間のもつ戦略を追究する。

研究方針

物体が単純な運動をする場合の視覚追従実験を行うことで、 人間の運動制御メカニズムの要素を抽出し、数式モデル構築を目指す。
具体的な内容は以下のとおり。
・視覚追従実験を行い実験データを収集し解析する。
・実験データをもとに推測して数式モデルをつくり、シミュレーションを行う。

実験結果

等速直線運動における視覚追従実験で、自分を対象にターゲットの速さを500px/sから200px/s間隔で1300px/sまで 5回セットで行った結果を示す。


v=500


v=700


v=900


v=1100


v=1300

vは単位はピクセル毎秒。v=500は十分に遅く感じる速さで、v=1100あたりから速く感じる。 結果をみると、等速円運動での実験で見られたように、速さに周期性がみられる。 しかし、これが能動的なリズム生成か、それともフィードバックによる補正なのかは判断が難しい。 より詳しい結果の解析が必要である。

実験系の課題

実験結果の考察方法

今回の実験系は速さの時系列のみを出力するプログラムだったが、位置と加速度の時系列も 考慮しないと考察できない。たとえば、ターゲットより速く動している場合、ターゲットに対して遅れているのか、進んでいるのかで、その時刻での速さの意味合いが違ってくる。追いつこうとしているのか、追い抜いてしまったのか。その時の加速度も考えなければ、その速さの意味付けもできない。 改善点としては、時刻と座標を出力するように変更し、 速さ、加速度、フーリエ変換も出力できるようにプログラムを組みなおすことにする。

スケールアップ

実験をPCのデスクトップで行っていたが、ターゲットを速くした場合に、 十分なサンプルがとれずに、実験データの解析が困難だった。 たとえば、下のグラフはターゲットの早さが1300ピクセル毎秒のときの速さの時系列である。 ターゲットは1.5秒ほどで過ぎ去り、追いつく前に実験が終わる。 このグラフは13点しかプロットできておらず安易に考察できない。

そこで、実験系のスケールアップが必要だと考え、 プロジェクタをつかってみた。 暗い部屋で、白い壁に写した。 実際にやってみると、単に画面が大きくなることのほかにも 利点があった。 運動する物体以外を排除できることだ。 具体的な例を挙げれば、PCのデスクトップで行う場合に避けられなかった、ウインドウの枠など。 何か絶対的な基準を設けることができるような手掛かりがあると、 本質的な結果が得られないかもしれない。 無駄な視覚情報をコントロールできる点でもPCの画面より優れている。



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