ガウスメータ制作
私の研究テーマは磁気と電気です。
研究背景
現代の社会で電気は欠かせないものです。
この電気は人間が積み重ねてきた、科学技術によるものです。
電気と磁気を扱う電磁気学という分野がありますが、どのようにしてこの学問が発展してきたのか、原点に立ち返ってみましょう。
今から200年ほど前、エルステッドが電流のまわりに磁場が発生することをしめしました。磁場とは、磁石が作る特別な場のことです。電を流のまわりに磁力が働く空間ができたのです。
それに続いてファラデーは、磁石を動かすと電流が流れることを発見しました。
これらの二つの発見によって電気から磁気が、逆に磁気から電気が作れることがわかったのです。
科学者たちはこの発見を数学的に記述し体系化してきました。
これらのまとめられた物理法則をつかって人は生活を優位にするものをつくってきたのです。 つまり、電気を使っていればこの体系化された法則を応用しているということになります。
例えば、電磁石はどうでしょうか。鉄に導線を巻いて電流を流すと、磁石になるのです。 この不思議な現象をどのように説明できるでしょうか。電流の大きさを一定にしても導線の巻き方で強さは変わります。 まさに、電気を磁気にかえる典型例である電磁石。この電磁石のつくる磁場の大きさ を定量化して、考えていきたいと思います。
ガウスメータ制作
そこで、はじめに磁束密度を測る装置ガウスメータをつくることにしました。まず、そもそも磁石が不思議なのは、 離れているところに力を与えることです。 磁場ができたということです。
目的
みえない磁場を数値にすることで大きさを判断できれば、電磁石の強さを客観的に測定できます。 そこで、磁場が大きさをはかる装置を開発しようと考えました。
原理
このガウスメータはホール素子をつかったものです。 電流を電子の動きだと考えます。 図のように電子が移動してるときに磁場がかかると、矢印の方向に力をうけます。これはローレンツ力とよばれ電子の速度と磁場の大きさに比例した強さが電子にはたらきます。
その結果、電流と垂直の方向に電荷の偏りが生じます。片側に電子が集中するのです。電荷の偏りができたということは、起電力が生じたといえます。 つまり、電池のプラス極とマイナス極ができたようなものです。この現象はホール効果とよばれています。 ここで、生じた起電力を数式で表してみます。電流Iが流れているときに磁束密度Bの磁場がかかり、起電力Vが生じたとするとV=kIB が成り立ちます。 この式から、Iを一定にしておけば、Bに比例した起電力が得られることがわかります。
方法
そこで、ホール素子に一定の電流を流すための回路を組み常にiが一定の値になるようにします。そして、出力された起電力を電圧計で測定し、2つの値からBを求めるという手法をとることにしました。
Bの値を求めるには、先ほどの式の比例定数kの値がわからなければなりません。
この値は積感度と呼ばれています。積感度はさまざまな要因で変化するので
予め測定しておかなければなりません。
そこで磁束密度のわかっている磁石を準備し、kを求めました。
結果
この表が測定結果です。
2つのガウスメータのホール素子について積感度を求めます。
グラフは直線に近似しています。
考察
Iは一定にしてあり、V/Bが結果からわかるの で積感度kがもとまります。
ところで、B=0の時に起電力が生じていました。はじめは何か失敗したのかと思いましたが、 測定しているうちにこの起電力を基準として、電圧が増えたり、減ったりしていることがわかりました。 このことから、はじめの起電力とホール効果による起電力のわが出力電圧になっているといえます。つまり、出力電圧から初めの起電力を引いた値を使ってBを求めなければならないということです。
今後の方針
今後はガウスメータをつかって、まず電磁石を測定することで、電流のつくる磁場を数値にしてコイルの3次元的な電気の流れがそれぞれどのように作用して中心に磁場をつくるか、それをとおして電気と磁気のかかわりをしらべていきたいです。
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