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第1回 natural science シンポジウム(2008.07.13)
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文責:大草 芳江 (2008年11月29日) カテゴリ:第1回 natural science シンポジウム (2008.07.13)(28)

● 「科学」って、そもそも何だろう?

 「科学」というと、知識や客観的事実のイメージや、中高生の皆さんにとっては暗記科目というイメージがあるかもしれません。しかしながら、そもそも「科学する」こととは、対象と「自分とのつながり」を感覚と知覚によって認識し、そこから、ものごとの因果関係を分析的・論理的に体系化していくことです。これを「科学的思考力」といいます。すなわち、「科学」と言うと客観的な知識ばかりが注目されがちですが、実は「自分とのつながり」を感じることから、科学ははじまるものなのです。

● 現状認識

 しかしながら現状は、よく問題として指摘されているように「知識偏重型」の教育、すなわち対象と「自分とのつながり」をリアルに感じる前提がないまま知識を詰め込む、受身そのものの教育がなされています。その結果が、よく知られているのは子どもの理科離れ問題ですが、実は、より深刻だと指摘されているのが、大人の科学リテラシー低下です。こうした問題の背後には、「科学は理系人間だけが知っていればいい」とする科学への無理解や軽視、すなわち科学と「自分とのつながり」を感じようとしない風潮の影響が無視できません。これら科学リテラシーの低下は、わが国の科学技術研究及び産業競争力の強化を実現する「科学技術創造立国」の基盤を揺るがす深刻な問題として、もはや国民全体による知の問題、すなわち社会的リスクであると捉えられています。

● 「持続可能な社会の構築」の根底を揺るがす危険性も

 同じような問題が、例えば環境教育の場でも起こっています。そもそも環境教育の目的は、文科省によると、「自己を取り巻く環境を自己のできる範囲内で管理し、規制する行動を、一歩ずつ確実にすることのできる人間を育成する」こと。すなわち、環境と「自分とのつながり」を感じ、環境を自分の問題として捉え、自ら考え行動する環境リテラシーの育成です。これらの主体的・創造的・継続的な活動が、持続可能な社会の構築につながる力です。一方、現在主流の「地球を守ろう!」などスローガンから入る教育活動は、一見尤もらしく、言われ続ければ自分も頑張ろうと思えるだけの効果はあります。しかしながら、それが対象と「自分とのつながり」をリアルに感じるだけの前提がないまま行われる教育であれば、知識詰込型の受身教育と全く同じ構図に陥る危険性があります。その結果、本来養われるべきはずの環境リテラシーは低下し、「持続可能な社会の構築」の基盤を揺るがす社会的リスクへと発展する危険性があるのです。

● natural science プログラムの特徴

 以上の現状を踏まえた上で、我々natural science では、「科学的思考力」の育成に重点を置いた科学教育プログラムの開発・実施を行っています。natural science のプログラムは、「そもそも、~とは何か」という「問いかけ」からはじまります。「問いかけ」は、自ら対象と「自分とのつながり」を認識しようとする能動的な営みです。そこに個性がはじめてあらわれます。反対に「問いかけ」の余地なく単に知識のみを鵜呑みにさせる教育は、個々人が自ら考え行動できる前提を奪うことにつながります。すなわち、個々人が「問いかけ」る前提をつくり、かつそれらを分析的・総合的に組み立てていく「科学的思考力」を養うプロセスに主眼を置いた科学教育プログラムの開発・実施が、社会的リスクへの本質的なアプローチとなると捉え、我々はそのような場を地域に創生することを目指しています。

● 本シンポジウムテーマについて

 以上のような認識から、本シンポジウムのテーマを「知識だけじゃない科学を五感で感じる体験型イベント~科学って、そもそも何だろう?~」と設定しました。科学を単なる知識として捉えるのではなく、対象と「自分とのつながり」を「問いかけ」ることで認識し、分析的・総合的に組み立てていく「科学的思考力」のプロセスを重視するスタンスを表しています。

 本シンポジウムを通じて、大人も子どもも、普段科学に触れている人も触れていない人も、「知識だけじゃない科学」を、すなわち「科学って、そもそもなんだろう?」を五感で感じていただければ幸いです。




Contents 第1回 natural science シンポジウム

第Ⅰ部(報告)

第Ⅱ部(意図)

第Ⅲ部(研究報告)

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