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第1回 natural science シンポジウム(2008.07.13)
サイエンス・ライブ報告(2/3)【大野 誠吾】

文責:大野 誠吾 (2008年12月 8日) カテゴリ:第1回 natural science シンポジウム (2008.07.13)(28)

背景と目的

本ライブでは人間における五感の原理についてテーマとし、なかでもその聴覚について取り上げた。人間は音を検出する器官として2つの耳を持っている。これにより音が鳴っていることのみならず、音が鳴っている場所まで認識が可能である。普段何気なく聞いている音であるが人間が2つの耳を用いてどのようにそれらを認識しているかを科学的な手法をもちいて、参加者との共有することを図った。

生物を知るための手法の一つとして、その生物の機能を模倣するという方法がある。人は、鳥を研究しその形状を模倣することで空を飛べるようになったし、二足歩行ロボットの開発から人間の歩行の原理について多くの知見が得られた。本ライブにおいてもこの手法にのっとり人間の聴覚を機械により再構築することにした。

(※サイエンスライブの様子はこちらをご覧ください。

実験

機械の耳を用い、鼓膜の振動の可視化を行った。音源の位置を変化させたとき、振動におけるどのパラメータがどのように変化するかを調べた。実験に際して用意したものを以下にあげる。

パソコン(音声発生および音声可視化用) 1台
マイク(機械の耳として)  2台
ステレオアンプ  1台
スピーカ(音源用) 1台

機械の耳として2つのマイクを用意し顔の長さの分だけ離した状態で参加者に保持してもらった。スピーカから連続的に300Hz の周波数の音波を発生させ左右のマイクに入力される音の波形をほぼリアルタイムにPCの画面に表示した。左右の耳の左耳から右耳の方向をx方向、頭の中心から目のついている方向をy方向とし、機械の耳に対する音源の相対的な位置を変化させた。

300 Hzの周波数の音を効果的に表示するために表示の前処理として左右の信号について以下のようなフィルター処理を施した。

1. 入力信号からマイクに入る低周波ノイズ成分、ラインノイズ成分(<110Hz)および、300 Hzよりも十分高周波成分(>1 kHz)を除去した。
2. 1の処理後パワースペクトル上でもっとも強い周波数成分のみ抜き出しその時間変化を表示した。

これによりスピーカから出力される単色な音のみの抽出を行い画面上でその周波数成分の信号を左右それぞれについて同時に表示させた。

結果

【 y方向に動かしたとき 】
耳から音源が遠くなるにしたがって振幅が小さくなった。これは音が回折により広がり距離が遠くなるにつれてマイクに入力されるエネルギーが減ったためだと考えられる。

【 x方向に動かしたとき 】
振幅の変化のみではなく位相の差が変化する様子が見て取れた。このことは左右の耳に音波が到達する時間が音源がx方向に移動することで変化したものと考えられる。

考察

音源と耳との相対的な位置の違いによって振幅、および左右の位相差に変化が見られた。このことから人間がもし仮に左右の耳によりそれらを認識できた場合、これらの情報から音源の推定に寄与できると考えられる。

上の図は音源からの振幅と到達時間が耳までの距離のみの関数であり、左右の耳がそれぞれ座標(-20,0),(20,0)にあったときの等振幅比線、および等位相差線をあらわす。図中赤い線は、左右の振幅の比を調べたときに同じ値になる線(等振幅比線)である。つまり同じ線上であれば左右の耳に到達する音の振幅の比は一定となる。これを見ると振幅の比から左右のどちらかという情報とおおよその距離は推定できるがどの方向から聞こえてきたかはあまり正確にはわからないと思われる。

青い線は左右の信号の位相差が一定となる線(等位相差線)である。この線上では左右の耳に入る音波の位相差は常に一定となる。これを見ると等位相差線は左右方向よりも前方、後方で密でありこの方向に高い角度分解能が期待できる。

これらを組み合わせることでxy平面上のどの位置で音が鳴っているかの推定ができるものと考える。ただしこの図を見てわかるようにいずれの線もx軸に対して対称的でありこのモデルからは音源の前後の判定は難しいものと考えられる。この判定を可能にするためには、前後の音の測定に関して何らかの非対称性を取り入れた測定をおこなう必要があるものと思われる。

今後

上のモデルの実証プログラムの開発が今後の目標といえよう。

サイエンスライブの報告



Contents 第1回 natural science シンポジウム

第Ⅰ部(報告)

第Ⅱ部(意図)

第Ⅲ部(研究報告)

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