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物性物理学入門
フォノン(格子振動)の分散関係(1原子)

文責:遠藤 理平 (2016年9月30日) カテゴリ:仮想物理実験室(277)計算物理学(132)

以下のように線形ばねで結合された原子が1列格子上に並べられている系を考えます。これは結晶を構成する原子振動の一番簡単なモデルとなります。 この一番左の原子のみを周期T[s]で振動させたとします。結合された原子全体の振動はどのようになるでしょうか? 原子をはやく振動させた方が原子全体へ振動が伝わりやすいような気もします。

上のシミュレーションは、バネ定数1[N/m]で結合された質量1[kg]の質点の内、一番左の質点を周期1[s]から4[s]でそれぞれ振動させます。 実行するとわかりますが、T=1では振動が隣の質点の全くと言っていいほど伝搬しておらず、一方T=4では振動が徐々に全体へと伝搬していく様子がわかります。 これは、ばねで結合された質点は任意の周期で振動することができないために起こります。なお、発生する波(格子振動)の波長λ[m]は周期によって異なります。

このように結晶を構成する原子の振動の周期と発生する波の波長には分散関係と呼ばれる

\omega^2 = \frac{4k}{m} \sin^2\left(\frac{Ka}{2}\right)

という関係式が存在します。 ただし、\omega \equiv 2\pi / Tは角振動数、 K \equiv 2\pi / \lambdaは波数という量で、 先の周期と波長に対応します。 この関係式の右辺は三角関数なので角振動数の最大値(周期の最小値)が決まり、

\omega_{\max} = 2\sqrt{\frac{k}{m}} →  T_{\min} = \pi\sqrt{\frac{m}{k}}

となります。つまり、m=1, k=1 の場合、周期がπ[s]よりも短い場合には振動が伝播しないことを意味します。 実際に上記のシミュレーションでは、T=2, T=3では隣接する数個は振動していますが、それが全体へは伝搬していないことが確認できます。 このような格子の振動はフォノンと呼ばれ、物質の性質に寄与することが知られています。


物理シミュレーションについては「HTML5による物理シミュレーション」を参照ください。 数式の表示は「Tex表記によるHTML文書への式の埋め込み」をご覧ください。



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