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【物理シミュレーションに挑戦!】古典力学
様々な力による物理シミュレーション3:クーロン力による運動

文責:遠藤 理平 (2016年9月28日) カテゴリ:仮想物理実験室(277)計算物理学(132)

本項は物理学における様々な系の物理現象を、解析的に扱うのではなく数値計算による物理シミュレーションを実行するために必要な計算アルゴリズムを示すことを目的とします。 様々な初期条件に対する物理シミュレーションを実現するために、最も汎用的な直交座標系を用います。
様々な力による物理シミュレーション1:弾性力による運動
様々な力による物理シミュレーション2:万有引力による運動
様々な力による物理シミュレーション3:クーロン力による運動
様々な力による物理シミュレーション4:レナード・ジョーンズ相互作用による運動
様々な力による物理シミュレーション5:引力+衝突力

電荷をもつ2つの物体にはクーロン力と呼ばれる引力ないし斥力が働きます。本項では、クーロン力による運動シミュレーションするために必要な計算アルゴリズムを示します。

図は2つの電荷に働くクーロン力の模式図です。クーロン力は2つの電荷の大きさに比例し、2電荷の距離の2乗に反比例し、力の向きは2点間を結ぶ直線上に働きます。 なお、電荷の符号が同じ場合には斥力、異なる場合には斥力となります。以上の結果から、m番目の質点からn番目の質点に与えられるクーロン力は

\mathbf{f}_{n,m} = \frac{ 1 }{ 4\pi \epsilon_0}\,\frac{Q_nQ_m}{|\mathbf{R}_n- \mathbf{R}_m|^2}\  \hat{\mathbf{n}}_{n,m}

と与えられます。ただし、 \epsilon_0 は真空の誘電率と呼ばれる定数です。また、力の向きを与える単位ベクトル \hat{\mathbf{n}}_{n,m}

\hat{\mathbf{n}}_{n,m} \equiv  \frac{ \mathbf{R}_n- \mathbf{R}_m }{|\mathbf{R}_n- \mathbf{R}_m|}

と定義します。もし、複数の電荷が互いにクーロン力を及ぼし合う場合、n番目の質点に加わる力は各万有引力を足し合わせた

\mathbf{f}_n = \sum\limits_{m=1}^{N} \frac{ 1 }{ 4\pi \epsilon_0}\,\frac{Q_nQ_m}{|\mathbf{R}_n- \mathbf{R}_m|^2}\  \hat{\mathbf{n}}_{n,m}

で与えられます。そのため、n番目の質点の時間発展は運動方程式から

\frac{d^2 \mathbf{R}_n}{dt^2} = \frac{1}{M_n}\sum\limits_{m=1}^{N} \frac{ 1 }{ 4\pi \epsilon_0}\,\frac{Q_nQ_m}{|\mathbf{R}_n- \mathbf{R}_m|^2}\  \hat{\mathbf{n}}_{n,m}

となります。

運動エネルギーとポテンシャルエネルギー

系全体の運動エネルギーとポテンシャルエネルギーはそれぞれ次のとおり与えられます。

T_{\rm total }= \sum\limits_{n=1}^{N}   \frac{1}{2}M_n \mathbf{v}_n^2
U_{\rm total }= \sum\limits_{n,m\,(n\neq m )}^{N}  \frac{ 1 }{ 4\pi \epsilon_0}\,\frac{Q_nQ_m}{|\mathbf{R}_n- \mathbf{R}_m|}

両者の和系全体の運動エネルギー

E_{\rm total } = T_{\rm total } + U_{\rm total }

は時間に依存しません。

クーロン力にによる運動シミュレーション

赤球:陽子(電荷:Q = 1.60217657E-19 [\rm C](電気素量)、質量:M = 1.67262158E-27 [\rm kg]
青球:電子(電荷:Q = -1.60217657E-19 [\rm C]、質量:M = 9.1093897E-31 [\rm kg]
なお、エネルギーの単位は電子ボルト([\rm eV] = 0.1602E-18 [\rm J])です。

古典的系における原子のモデル

電子間相互作用を考慮した古典的原子モデルです。クーロン力だけでは電子の電荷と原子の電荷が釣り合っている場合でも安定しません。


物理シミュレーションについては「HTML5による物理シミュレーション」を参照ください。 数式の表示は「Tex表記によるHTML文書への式の埋め込み」をご覧ください。



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