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【物理シミュレーションに挑戦!】古典力学
様々な力による物理シミュレーション9:回転座標系における運動(コリオリ力+遠心力)

文責:遠藤 理平 (2016年11月10日) カテゴリ:仮想物理実験室(268)計算物理学(127)

本項は物理学における様々な系の物理現象を、解析的に扱うのではなく数値計算による物理シミュレーションを実行するために必要な計算アルゴリズムを示すことを目的とします。 様々な初期条件に対する物理シミュレーションを実現するために、最も汎用的な直交座標系を用います。
様々な力による物理シミュレーション1:弾性力による運動
様々な力による物理シミュレーション2:万有引力による運動
様々な力による物理シミュレーション3:クーロン力による運動
様々な力による物理シミュレーション4:レナード・ジョーンズ相互作用による運動
様々な力による物理シミュレーション5:引力+衝突力
様々な力による物理シミュレーション6:剛体棒で結合された結合力
様々な力による物理シミュレーション7:任意の剛体棒で結合された結合力
様々な力による物理シミュレーション8:2重振り子とニュートン振り子
様々な力による物理シミュレーション9:回転座標系における運動(コリオリ力+遠心力)

これまでは静止座標系における様々な運動についてのシミュレーションを行いました。 本項では回転座標系を導入して、回転座標系における振り子の振動シミュレーションを行います。 回転座標系上に固定された視点(カメラ)から振り子運動を見ると、単振動させるために初速度ゼロで運動を開始しても、そのようにはなりません。 この原因はコリオリ力遠心力と呼ばれる、静止座標系から回転座標系へ変換した場合に生じる見かけ上の力が発生するためです。これらは、例えば自転する地球上における弾道運動などで考慮する必要が生じます。

コリオリ力と遠心力

静止座標系に対して、z軸を中心として角速度\omegaで回転する回転座標系を考えます。 回転座標系に固定された視点(カメラ)で観測した場合、物体には静止座標系で生じていた\mathbf{F}の他にも見かけ上の力が加わります。

\mathbf{F}_{\rm rot.} = \mathbf{F} + 2m \left[ \mathbf {v}(t)\times\mathbf{ \omega }\right] - m\left[\mathbf{ \omega }\times  (\mathbf{ \omega }\times \mathbf {r}(t))\right]  - m \mathbf{ \alpha }\times \mathbf {r}(t)

第二項目はコリオリ力、第三項目は遠心力と呼ばれます。第四項目の\alphaは回転座標系の角加速度(回転の加速度)が存在する場合に生じる力です。ちなみにコリオリ力や遠心力で生じる力は見かけ上の力なので通常の意味でのポテンシャルエネルギーは存在しません。 そのため、回転座標系における力学的エネルギー保存則を考える場合、回転座標系における運動エネルギーから回転座標の回転によって生じる運動エネルギー

K_{\rm rot.}= \frac{1}{2}\,mv_{\rm rot.}^2 = \frac{1}{2}\,mr^2\omega^2

を差し引くことで保存します。

回転座標系における運動シミュレーション

次のシミュレーションは回転座標系の角速度を\omega = 2 * Math.PI/10と与えた系で(10[s]で1回転)、振り子の振動運動を観測することができます。

※計算誤差(100[s]):約0.000000000040%

静止座標系で固定した視点で観測場合

今度は上記と同じ運動を静止座標系で固定した視点で観測した結果です。静止座標系に固定された視点から観測した振り子の運動は、 回転座標系の回転速度に対応する初速度

 \mathbf{v}(0) =\mathbf{\omega} \times \mathbf {r}(0)

が与えられた運動と一致します。

※計算誤差(100[s]):約0.000000000040%

静止座標系で固定した視点で単振動させる場合

静止座標系に固定された視点から観測した振り子の運動を、楕円軌道ではなく一直線上の単振動させるには、回転座標系の回転速度に対応する初速度と反対方向の同じ大きさの初速度を与える必要があります。 次のシミュレーションは、上記の初期初速度を与えた振り子の運動です。静止座標系に固定された視点から観測した振り子の運動は、単振動(一直線上)となっていることが確認できます。

注意:描画している軌跡は回転座標系に対してです。回転座標系に固定された視点で観測した場合は、無論単振動ではありません。 地球上で振り子を本当に単振動させたい場合には、自転の回転と逆方向の初速度を与える必要があることになります。

※計算誤差(100[s]):約0.000000000040%


物理シミュレーションについては「HTML5による物理シミュレーション」を参照ください。 数式の表示は「Tex表記によるHTML文書への式の埋め込み」をご覧ください。



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