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異なる媒質の境界における電磁波と電子波
【2-4】境界面において任意の形状の波に対して時間発展を与える一般表式

文責:遠藤 理平 (2011年12月21日) カテゴリ:仮想物理実験室(247)計算物理学(126)

本節以降、 前々節前節でそれぞれ導出した電磁波と電子波に対する透過係数t(k)と反射係数r(k)を用いて、平面波、パルスやビームなどの第1章で定義した様々な形状の波動に対する時間発展を計算します。その準備として本節では、任意の形状に対する一般表式を導出します。

波数ベクトルの重ね合わせにより任意の形状の波動を表現

【2-2】電磁波に対する透過係数と反射係数の導出【2-3】電子波に対する透過係数と反射係数の導出では、 任意の波数ベクトル\mathbf{k}に対する入射波に対する反射波と透過波の振幅の比から、反射係数と透過係数を導出しました。 第1章では異なる波数ベクトルの波を重ね合わせることで、様々な形状の波動を作り出すことができることを示しましたが、異なる波数ベクトルをもつ入射波、反射波、透過波を重ね合わせることで、任意の形状の波に対する、境界面近傍での波の振る舞いを計算することができます。

これまでと同様、z=0を境界面に取ります。 領域1と領域2の電磁波と電子波は一般的に次のように表すことができます。

電磁波の場合

(2-4-1)

ただし、(*)はS偏光を表す(s)かP偏光を表す(p)のどちらかを表します。

電子波の場合

(2-4-2)

反射波と透過波はそれぞれ反射係数と透過係数を用いて表しています。 電磁波、電子波ともに同等の式で表現することができます。 式(1)と(2)の表式にて重要な点は、入射波の振幅を表す\mathbf{A}_{11}^{(*)}(\mathbf{k})\psi_{11}(\mathbf{k})は、\mathbf{k}に関して任意である点です。つまり、\mathbf{A}_{11}^{(*)}(\mathbf{k})\psi_{11}(\mathbf{k})を適切に設定することで、境界面の様々な形状の波の振る舞いを計算することができます。


電磁波と電子波の波数ベクトルの違いについて

式(1)と(2)の波数\mathbf{k}_1\mathbf{k}_2を成分で表すと

(2-4-3)

となります。また、 透過角度	heta_2と入射角度	heta_1の関係も

(2-4-4)

と決まり、式(3),(4)は電磁波と電子波で違いはありません。 ちなみに式(4)式はスネルの法則と同等です。 電磁波と電子波の違いは、真空中の波数ベクトル\mathbf{k}と媒質中の波数ベクトル\mathbf{k}_1, \mathbf{k}_2との関係に現れます。 電磁波と電子波に対してそれぞれ、

(2-4-5)

となります。


空間分布の計算方法

ここまでで、境界面において任意の形状の波に対して時間発展をするために必要な情報は揃いました。 次節以降次のステップで計算します。

1.入射波の振幅\mathbf{A}_{11}^{(*)}(\mathbf{k})\psi_{11}(\mathbf{k})を与える。
2.式(5)より各媒質での波数ベクトルの大きさを計算する。
3.入射角度	heta_1を与える。
4.式(4)で、透過角度	heta_2計算する。
5.前々節前節で与えられる反射係数、透過係数を計算する。
6.式(1),(2)を用いて、任意の位置\mathbf{r}と時刻tにおけるベクトルポテンシャル\mathbf{A}(\mathbf{r},t)、波動関数\psi(\mathbf{r},t)を計算する。


【目次】シュレディンガー方程式とマクスウェル方程式



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