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VisualC++ と OpenGL を利用した仮想物理実験室
【1-2-4】階差数列を用いた等加速度直線運動の解析解の導出

【1-2-2】等加速度直線運動のシミュレーションでは等加速度直線運動のシミュレーションを、【1-2-3】等加速度直線運動をグラフ化するでは、グラフ化ソフト gnuplot を用いて等加速度直線運動の t[s] 対 x[m], v[m/s], a[m/s^2] のプロットを行ないました。この節では、等加速度直線運動のシミュレーションで用いたアルゴリズムから、物理量同士の関係式(物理公式)を導くことを行ないます。

等速直線運動では、4つの物理量時刻 t[s]位置 x[m], 速度 v[m/s], 加速度 a[m/s^2]の関係式は、【3日目】等加速度直線運動で、次のように導きました。

(3.2-1)

この関係式は、速度 v_{n-2} と加速度 a が決まれば、速度 v_{n-1} が得られ、その速度 v_{n-1}と位置 x_{n-1} が決まれば、x_n が得られるという因果関係を表しています。このように n を用いて表現される関係式は、差分方程式と呼ばれます。 差分方程式は、コンピュータ上でシミュレーションを行なうためのアルゴリズム構築上、必要不可欠な関係式です。しかしながら、任意の時刻 t=t_n のときの位置 x_n を知るためには、差分方程式を逐次計算する必要があるため、時刻 t[s]と位置 x[m]は因果関係で結ばれているとは言えません。 【2.2日目】等速度直線運動の解析解1:等差数列と同様に、式(3.2-1)からスタートして、時刻 t[s]と位置 x[m]の因果関係を導きます。

時刻 v_{n-1} の一般解

(3.2-2)

上式は、速度 v_{n-1} と v_{n-2}の関係式を表しています。この関係式は任意の n で成り立ちます。 高校で学習する数列の言葉を用いると、数列 v_{n-1} は、公差 aΔt 、項数 n-1 の等差数列 となるので、数列 v_{n-1} の一般項は、

(3.2-3)

と求まります。つまり、任意の n に対する v_{n-1} の値が計算できました。

時刻 t[s] と 位置 x[m/s] の関係

式(3.2-1)に、式(3.2-3)を代入して整理すると、

(3.2-4)

となります。上式は、位置 x_n と x_{n-1}の関係式を表しています。この関係式は任意の n で成り立ちます。これは、高校で学習する等差数列(第2項目)と階差数列(第3項目)が組み合わされています。具体的には、公差 v_0Δt-a(Δt)^2、項数 n の等差数列公差 na(Δt)^2、項数 n-1 の階差数列なので、 x_n の一般項は次の過程で計算できる。

(3.2-5)

上式は、n について整理していません。 任意の時刻 t と位置 x との関係を導くために、 【2.2日目】等速度直線運動の解析解1:等差数列で導いた関係式、

(3.2-6)

を適応すると、式(3.2-5)は次のようになります。

(3.2-7)

Δt は、コンピュータシミュレーションする際に、任意に決めることができる量ですが、 現実の世界では、時間は離散的な値ではないので Δt=0 となります。

(3.2-8)

上式は、初期の位置(x_0)、初速度(v_0)、加速度 a がわかれば、任意の時刻 t のときの位置 x(t) が決まることを表しています。この式のように、求めたい物理量同士の関係(この場合は、位置 x[m]と時刻 t[s])が直接得られた場合、それは解析解が得られたといいます。

一方、Δt≠0 でコンピュータでアルゴリズムを用いて計算した結果は数値解と呼ばれます。その際に、解析解と数値解との差は誤差と呼ばれ、この値が大きなほどシミュレーション結果と現実世界の運動との差があることを意味します。誤差を次の次の式で定義します。

誤差の定義式

(3.2-9)
数値誤差の定義式

この式は、式(3.2-1)の差分方程式の逐次計算で得られた位置x_n と、式(3.2-8)で導かれた解析解 x(t) との差をあらわしています。等加速度直線運動の誤差は、

(3.2-10)
等加速度直線運動の誤差

と求まります。誤差は、加速度 a[m/s^2]、時刻 t[s]、差分Δt に比例することがわかります。 等加速度直線運動をシミュレーションする場合、加速度a と差分Δt は時間に依らず一定ですが、時刻 t は刻々と大きくなります。つまり、時刻 t[s]が過ぎれば過ぎるほど、誤差は比例して大きくなることをこの式は意味しています。

VisualC++ と OpenGL を利用した仮想物理実験室

第0章 仮想物理実験室の構築

第1章 様々な運動

第2章 ニュートンの運動方程式

第3章 剛体の運動(エネルギー保存則と運動量保存則)

付録

  • 【A-1】参考文献
    ・(A-1-1)OpenGL について
    ・(A-1-2)VisualC++ について
    ・(A-1-3)物理シミュレーション
    ・(A-1-4)数値計算

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量子力学

波動論



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